このコーナーでは、標準管理規約や標準管理委託契約の改正内容について、何故改正したのか説明していきます。2025年6月は標準管理規約(2024/6改正版)第64条の2の巻です。
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◎隣の住戸は頻繁に引越があって、馴染みのない人で挨拶も交わせないけど、これってなんかまずくない?
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【新設】
(組合員名簿等の作成、保管)
第64条の2 理事長は、組合員名簿及び居住者名簿(以下「組合員名簿等」という。)を作成して保管し、組合員の相当の理由を付した書面による請求があったときは、これらを閲覧させなければならない。この場合において、閲覧につき、相当の日時、場所等を指定することができる。
2 理事長は、前項の規定により閲覧の対象とされる組合員名簿等に関する情報については、組合員の相当の理由を付した書面による請求に基づき、当該請求をした者が求める情報を記入した書面を交付することができる。この場合において、理事長は、交付の相手方にその費用を負担させることができる。
3 理事長は、第19条第3項又は第31条の届出があった場合に、遅滞なく組合員名簿等を更新しなければならない。
4 理事長は、毎年1回以上、組合員名簿等の内容の確認をしなければならない。
(新設箇所の解説)
昨今は個人情報保護の観点から、「名簿」と称する書面にナーバスになる方が少なくないことと思います。管理会社が管理保管する組合員名簿は、管理費等を徴収するために必要不可欠ですが、ここで特定される「組合員名簿等」とは、管理組合が健全な活動を継続するために、管理組合自身が責任をもって管理保管する名簿のことを指します。
マンションの各住戸に、何人の方が住まわれ、例えば一人暮らしの方や身体の不自由な方が何号室にいるのか、といった情報は見守りや火事・震災等の際の共助活動のためにはなくてはならないものです。また必要に応じマンション外部の親族等への連絡先を把握しておく必要もあるかもしれません。
一方外部区分所有者の方が不動産会社を経由して賃貸している場合、賃借人が頻繁に交代すればマンション住人の面識が薄い人がいつの間にか暮らしているといったケースも起こりうることになります。投資型マンションであればそのような状況は当たり前かもしれませんが、一般的な分譲マンションでは慣例化は避けたい現象ですよね。
当機構のマンション管理士は、組合員名簿等の作成のためのアンケート実施や、マンション毎の個別事情に鑑みた名簿内容の整理、適切な管理保管のしかた、一連についての総会・理事会決議の取り方等について、誠意をもってアドバイス致します。お気軽にお声がけ下さい。
さいとうたけろうマンション管理士事務所
齋藤太桂朗