【お役立ちコーナー】マンション標準管理委託契約書改訂版解説(その5)

 今回は、その他「個人情報保護等に関する規定の充実」に関する部分から第17条(秘密保持義務)及び第18条(個人情報の取扱い)に追加された条文のポイントを解説していきます。

(改訂の解説)
 管理会社が業務を通じて知り得る組合員の個人情報の取り扱いについて明文化されることとなりました。第17条では「乙(管理会社)は甲(管理組合)及び組合員の秘密を管理事務以外の目的に使用してはならない」という文言が追加され、さらに、第18条(個人情報の取扱い)が新たに追加されました。個人情報の漏洩禁止や紛失や盗難に備えた安全策を講じること、甲の同意のない個人情報取扱いの再委託禁止や万一情報漏洩が発生した場合には調査を行い、甲に対して報告、再発防止策を講じること等が規定されています。当然ながら、甲(管理組合)と乙(管理会社)はともに、個人情報保護法に定める個人情報取扱事業者としての責任(罰則あり)を負っています。

 個人情報が悪用され、詐欺などの犯罪に結び付くケースが後を絶ちません。管理会社が、組合員の個人情報を預かる場合の保管体制として、保管場所の施錠の有無や個人情報使用時のルールなどを明確にしておく必要があるでしょう。また、
管理員が組合員の家庭環境等を知り、悪気がなくてもうっかり他の組合員にしゃべってしまいクレームとなった事例もあります。

 マンションは同じ一つの建物の中にたくさんの人が集まって住んでいるため災害や事故発生時には共助が必要な時もありますが、だからこそプライバシーや情報の取扱いに配慮する必要があるのです。

マンション管理士 長濱 千奈美